Last Updated on 2025年12月18日 by つながる塾人
内申点とは何か?基礎知識を理解しよう
お子さんの高校受験を考えるとき、必ず耳にする「内申点」という言葉。でも、実際にどのようなものなのか、どれほど重要なのか、正確に理解している保護者の方は意外と少ないかもしれません。内申点は、お子さんの中学校生活全体の評価を数値化したもので、高校受験の合否に大きく影響します。ここでは、内申点の基本的な知識をわかりやすく解説していきます。
内申点の定義と重要性
内申点とは、中学校での学習成績や生活態度を総合的に評価し、数値化したものです。各教科の評定(通知表の5段階評価)をもとに計算され、高校入試の合否判定に使用されます。
多くの都道府県では、入試当日のテストの点数だけでなく、この内申点も合否判定の重要な要素となっています。たとえば、東京都の都立高校入試では、内申点と学力検査の比率が7対3となっている学校もあり、内申点の重要性は非常に高いといえます。
内申点が高ければ、当日のテストで多少失敗しても合格できる可能性が高まります。逆に、内申点が低いと、当日満点近く取らなければ合格が難しいという状況になることもあります。つまり、日々の学校生活の積み重ねが、受験の結果を大きく左右するのです。
また、私立高校の推薦入試では、内申点が基準を満たしていることが出願条件となることがほとんどです。「内申点○○以上」という明確な基準が設けられており、この基準に達していなければ、そもそも受験すらできません。つまり、内申点は受験のスタートラインに立つための必須条件なのです。
内申点と評定の違い
保護者の方からよく「内申点と評定は同じもの?」という質問をいただきます。実は、この2つは関連はあるものの、別のものです。
評定とは、通知表に記載される各教科の5段階評価(5、4、3、2、1)のことです。各学期末に、国語、数学、英語、理科、社会、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の9教科について、それぞれ評価がつけられます。
一方、内申点は、この評定をもとに計算された合計点数のことを指します。たとえば、9教科すべてで評定「5」を取った場合、5×9=45点が内申点となります。都道府県によっては、実技4教科(音楽、美術、保健体育、技術・家庭)を2倍にして計算するなど、独自の計算方法を採用しているところもあります。
つまり、評定は各教科の個別評価、内申点はそれらを合計した総合評価と考えるとわかりやすいです。高校入試で重視されるのは、この合計された内申点になります。
内申点が使われる場面
内申点は、主に以下の3つの場面で使用されます。
- 公立高校の一般入試:学力検査の点数と内申点を合計して合否判定
- 私立高校の推薦入試:出願資格として内申点の基準を設定
- 公立高校の推薦入試・特色選抜:内申点が主な選考基準
公立高校の一般入試では、都道府県ごとに内申点と当日の学力検査の比重が異なります。神奈川県では内申点と学力検査、面接の比率を各高校が設定できる仕組みになっており、学校によって内申点重視か、当日の試験重視かが変わってきます。
私立高校の推薦入試では、「3年2学期の内申点が5教科20以上」「9教科で35以上」といった具体的な基準が設けられることが多いです。明治大学付属明治高校や早稲田大学高等学院など、難関私立高校では、内申点の基準が非常に高く設定されています。
また、公立高校の推薦入試や特色選抜では、内申点が最も重要な選考基準となります。面接や小論文なども実施されますが、まず内申点が基準を満たしていることが前提となるケースがほとんどです。このように、内申点は高校受験のあらゆる場面で重要な役割を果たしているのです。
内申点の計算方法を詳しく解説
内申点がどのように計算されるのかを理解することは、対策を立てる上で非常に重要です。計算方法を知ることで、どの教科に力を入れるべきか、どの時期の成績が重要なのかが明確になります。ここでは、内申点の具体的な計算方法について、都道府県による違いも含めて詳しく説明します。
9教科の評定から内申点を算出する仕組み
内申点の基本的な計算方法は、9教科の評定を合計するというシンプルなものです。中学校で学ぶ9教科は、国語、数学、英語、理科、社会の5教科と、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科(実技教科)です。
各教科の評定は1から5の5段階で評価されます。最も基本的な計算方法では、この9教科の評定をすべて足し算します。たとえば、以下のような成績だった場合を考えてみます。
| 教科 | 評定 |
|---|---|
| 国語 | 4 |
| 数学 | 3 |
| 英語 | 4 |
| 理科 | 3 |
| 社会 | 4 |
| 音楽 | 3 |
| 美術 | 4 |
| 保健体育 | 3 |
| 技術・家庭 | 4 |
| 合計 | 32点 |
この場合、内申点は32点となります。満点は45点(全教科で5を取った場合)です。多くの都道府県では、この計算方法を採用しています。
ただし、どの学年の成績を使うかは都道府県によって異なります。東京都では3年生の2学期(後期制の場合は前期)の成績のみを使用しますが、埼玉県では1年生から3年生まで、3年間すべての成績を使います。神奈川県では2年生と3年生の成績を使用するなど、地域によって大きく異なるのです。
都道府県別の内申点の違い
内申点の計算方法は、都道府県によって大きく異なります。この違いを理解しておかないと、効果的な対策が立てられません。主な都道府県の計算方法を見てみましょう。
東京都の場合、3年生の2学期の成績を使用し、5教科はそのまま、実技4教科は2倍にして計算します。つまり、5×5+4×2×4=65点満点となります。この計算方法では、実技教科の重要性が非常に高くなります。
神奈川県では、2年生の成績(9教科合計)と3年生の成績(9教科合計を2倍)を足し、135点満点で計算します。2年生45点+3年生90点=135点満点です。この方式では、3年生の成績が2倍になるため、3年生での頑張りが特に重要になります。
埼玉県は、1年生、2年生、3年生の各学年末の評定を合計します。各学年45点満点なので、3年間で135点満点となります。1年生から気を抜けないシステムです。
大阪府では、中学3年生の評定のみを使用しますが、チャレンジテストという府内共通のテストの結果も反映される独自のシステムを採用しています。このように、お住まいの地域の計算方法を正確に把握することが、内申点対策の第一歩となります。
実技教科の重要性
多くの保護者の方が見落としがちなのが、実技教科の重要性です。音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科は、主要5教科に比べて軽視されがちですが、実は内申点アップの大きなカギを握っています。
東京都のように実技教科を2倍にして計算する地域では、実技教科1つの評定を1上げることは、主要教科2つの評定を1上げることと同じ効果があります。たとえば、音楽の評定を3から4に上げると、内申点は2点アップします。これは、国語と数学の両方を3から4に上げたのと同じ効果なのです。
実技教科は、主要5教科に比べて評定を上げやすい面もあります。提出物をしっかり出す、授業に積極的に参加する、実技テストで努力の跡を見せるといった基本的なことを徹底するだけで、評定が上がることも少なくありません。
音楽ならリコーダーや歌のテストに向けて自宅で練習する、美術なら作品制作に丁寧に取り組む、保健体育なら授業での活動に真剣に取り組み、体育理論のテストもしっかり勉強する、技術・家庭なら実習レポートを丁寧に仕上げるといった工夫が効果的です。主要教科で評定5を取るのは難しくても、実技教科で4や5を取ることは、努力次第で十分可能です。実技教科を味方につけることが、内申点アップの近道といえます。
内申点に影響する要素とは
内申点を上げるためには、何が評価されるのかを正確に理解する必要があります。多くの方は「定期テストの点数だけ」と思いがちですが、実際には様々な要素が総合的に評価されています。ここでは、内申点(評定)を決定する主な要素について、具体的に解説します。
定期テストの成績
定期テストの成績は、内申点を決める上で最も大きなウェイトを占める要素です。多くの学校では、評定の50〜70%程度が定期テストの結果によって決まるといわれています。
中学校では、通常、年間で4〜5回の定期テストが実施されます。1学期中間テスト、1学期期末テスト、2学期中間テスト、2学期期末テスト、学年末テストといった形です。これらのテストは、各教科100点満点で実施され、その平均点や合計点が評定の基礎となります。
たとえば、数学で1学期中間が75点、1学期期末が80点だった場合、1学期の数学の評定は、この2回のテスト結果を中心に判断されます。一般的に、平均80点以上で評定4、平均90点以上で評定5が目安とされることが多いですが、学校や教科によって基準は異なります。
重要なのは、すべての定期テストで安定した成績を取ることです。1回だけ高得点を取っても、他のテストで点数が低ければ、評定は上がりません。継続的に高得点を維持することが、内申点アップには不可欠です。特に、学年末テストは範囲が広く、1年間の総まとめとなるため、ここでしっかり点数を取ることが重要になります。
提出物と授業態度
定期テストの点数が良くても、提出物や授業態度が悪いと、期待するような評定はもらえません。これらは「関心・意欲・態度」という観点で評価され、評定の30〜40%程度を占めることもあります。
提出物には、以下のようなものが含まれます。
- ワークやドリルなどの課題
- 夏休みや冬休みの宿題
- レポートや作文
- 実技教科の作品や実習記録
これらの提出物は、期限内に必ず提出することが大前提です。1つでも未提出があると、それだけで評定が1つ下がることもあります。また、提出するだけでなく、内容の質も重要です。雑に書いたものや、明らかに手を抜いたものは評価が低くなります。
授業態度については、以下の点が評価されます。発言や質問を積極的にする、ノートをきちんと取る、授業中に私語をしない、忘れ物をしない、グループ活動に協力的に参加するといった点です。
特に、実技教科では授業態度の比重が高くなります。音楽の授業で大きな声で歌う、美術の授業で真剣に作品制作に取り組む、体育の授業で全力で活動するといった姿勢が、評価に直結します。定期テストで満点を取っても、授業態度が悪ければ評定5は難しいのです。
小テストや単元テスト
定期テスト以外にも、小テストや単元テストが評定に影響します。これらは、各単元の学習が終わった後に実施される10〜30点程度の小規模なテストです。
たとえば、英語の授業で単語テストが毎週実施される、数学で単元ごとに確認テストがある、理科で実験レポートと一緒に理解度チェックテストがあるといった形です。これらの小テストは、1回1回の配点は小さいですが、積み重ねると大きな評価になります。
小テストの利点は、範囲が狭く、対策がしやすいことです。定期テストのように広範囲ではないため、しっかり準備すれば満点を狙えることが多いです。特に、英単語テストや漢字テスト、計算テストなどは、努力すれば確実に点数が取れます。
また、小テストは「日々の学習習慣」を評価する指標にもなります。毎回の小テストでコンスタントに良い点を取っている生徒は、「きちんと勉強している」と評価され、定期テストで多少点数が振るわなくても、評定が下がりにくい傾向があります。逆に、小テストを軽視して点数が悪いと、「普段から勉強していない」と判断され、評定に悪影響を及ぼします。小テストも決して侮れない重要な要素なのです。
内申点を上げるための具体的な方法
内申点の仕組みを理解したら、次は実際に内申点を上げるための行動を起こす必要があります。ここでは、すぐに実践できる具体的な方法を紹介します。お子さんと一緒に取り組めば、確実に成果が出る内容ばかりです。
定期テスト対策の基本
定期テスト対策は、内申点アップの要です。テスト2週間前からは、計画的に勉強を進めることが重要です。
まず、テスト範囲を確認します。学校から配布されるテスト範囲表を見て、各教科でどこからどこまでが出題されるのかを把握します。次に、この範囲を勉強し終えるための学習計画を立てます。
効果的な計画の立て方は、「逆算方式」です。テスト前日から逆算して、いつまでに何を終わらせるかを決めていきます。たとえば、数学の問題集を2周したいなら、1周目は10日前までに終わらせ、2周目は3日前までに終わらせる、といった具合です。
勉強の優先順位は、苦手教科から取り組むのがおすすめです。得意教科は直前に復習するだけでも点数が取れますが、苦手教科は時間をかけて理解を深める必要があるからです。また、暗記科目(社会、理科の一部、英単語など)は、繰り返し学習が効果的です。1回で覚えようとせず、何度も復習することで記憶に定着します。
学校のワークやプリントは、最低2周は解きます。1周目で間違えた問題にチェックをつけ、2周目ではその問題を重点的に解き直します。学校の先生は、ワークから似た問題を出すことが多いので、ワークを完璧にすることが高得点への近道です。
提出物を確実に出すコツ
提出物を期限内に出すことは、評定を下げないための最低条件です。しかし、意外と多くの生徒が提出物を忘れたり、遅れたりしています。確実に提出するためのコツを紹介します。
まず、提出物管理ノートを作ります。各教科の提出物について、「何を」「いつまでに」提出するのかを一覧にしてまとめます。手帳やスマホのリマインダー機能を使っても良いです。大切なのは、提出物を「忘れない仕組み」を作ることです。
次に、課題は早めに取りかかる習慣をつけます。締め切り直前になると、他の教科の課題も重なって焦ることになります。出されたその日から少しずつ進めれば、余裕を持って丁寧な内容に仕上げられます。
特に、夏休みや冬休みの宿題は要注意です。長期休暇の最終日に慌てて終わらせるのではなく、休み期間を3つに分けて計画的に進めます。最初の1週間で1/3、中間の期間で1/3、最後の1週間で残り1/3と見直しを行うイメージです。
また、提出物の質にも気を配ります。丁寧な字で書く、図やグラフを入れる、自分の考えや感想をしっかり書くなど、先生が「きちんと取り組んでいる」と評価してくれる内容にします。単に空欄を埋めるだけでなく、プラスアルファの工夫をすることで、評価が上がります。
授業態度を改善するポイント
授業態度の改善は、すぐに実践できて効果が高い方法です。特別な能力は必要なく、意識を変えるだけで評価が上がります。
最も重要なのは、授業中の集中力です。ぼーっとしたり、居眠りをしたりせず、先生の話をしっかり聞きます。ノートを取りながら聞くと、集中力が高まります。先生の説明で重要だと思った部分には、色ペンで印をつけたり、吹き出しでメモを加えたりすると、後で見返したときにも役立ちます。
積極的な発言も高評価につながります。授業中に先生が質問したときは、間違いを恐れずに手を挙げて答えます。たとえ答えが間違っていても、「考えて発言した」という姿勢が評価されます。週に1回でも発言できれば、先生の印象は大きく変わります。
忘れ物をしないことも基本です。教科書、ノート、筆記用具、体操服など、必要なものは前日にチェックして準備します。忘れ物が多いと、「だらしない生徒」という印象を持たれ、評定に悪影響を及ぼします。
グループワークや実験では、協力的に参加します。自分だけ知識を独り占めせず、わからない友達に教えたり、役割分担で責任を持って自分の仕事をこなしたりする姿勢が大切です。こうした協調性も、評価の対象となります。
実技教科の評定を上げる工夫
実技教科は、内申点アップの穴場です。主要5教科ほど競争が激しくなく、努力が成果に結びつきやすいからです。
音楽では、歌のテストやリコーダーのテストがあります。これらは家で練習すれば、確実に上達します。歌詞を覚える、正しい音程で歌えるように練習する、リコーダーの運指を繰り返し練習するなど、地道な努力が評価されます。また、音楽の筆記テストもあるので、楽譜の読み方や音楽用語はしっかり暗記します。
美術では、作品の完成度が評価されます。才能よりも、丁寧に時間をかけて制作する姿勢が重要です。下書きを何度も描き直す、細部まで色を塗る、仕上げを丁寧にするといった工夫で、評価は上がります。また、美術史や技法に関する筆記テストもあるので、授業でノートをしっかり取り、復習します。
保健体育は、運動能力だけでなく、授業への取り組み方が評価されます。たとえ運動が苦手でも、全力で取り組む姿勢を見せれば評価されます。また、保健の授業での筆記テストもあるので、教科書を読み込んで対策します。体育理論のテストは暗記中心なので、しっかり勉強すれば高得点が狙えます。
技術・家庭では、実習の成果物(木工作品、調理実習のレポート、裁縫作品など)と、筆記テストが評価されます。実習では、手順を守り、安全に配慮しながら丁寧に作業します。レポートは、実習の過程や感想を詳しく書くことで、評価が上がります。実技教科は、「やる気」と「努力」を見せることが、評定アップの鍵なのです。
内申点アップに効果的な学習法
内申点を上げるためには、日々の学習方法を見直すことも重要です。効率的な勉強法を身につければ、限られた時間でも最大の成果を出すことができます。ここでは、すぐに実践できる効果的な学習法を紹介します。
計画的な勉強スケジュールの立て方
成績を上げるには、計画的な勉強が不可欠です。行き当たりばったりの勉強では、テスト範囲をカバーしきれなかったり、苦手分野を放置したりすることになります。
まず、週間スケジュールを作ります。月曜日から日曜日までの1週間で、いつ、どの教科を、何時間勉強するかを決めます。学校のある平日は1〜2時間、休日は3〜4時間が目安です。部活動や習い事の時間も考慮して、無理のない計画を立てることが大切です。
勉強時間は、教科をローテーションさせます。毎日同じ教科ばかりだと飽きてしまうので、月曜日は数学と英語、火曜日は国語と理科、水曜日は社会と数学といった具合に、バランスよく配分します。苦手教科は、週に2〜3回は必ず学習時間を確保します。
また、隙間時間も有効活用します。通学時間、お風呂の時間、寝る前の10分などを使って、英単語の暗記や社会の一問一答をするだけでも、積み重ねれば大きな差になります。スマホのアプリで学習できる単語帳や、ポケットサイズの参考書を活用すると便利です。
計画を立てたら、実行状況をチェックします。計画通りに勉強できたかを毎日振り返り、できなかった日は理由を考えて、次の週の計画に反映させます。最初から完璧な計画を立てる必要はありません。試行錯誤しながら、自分に合った学習リズムを見つけていくことが大切です。
苦手科目の克服方法
苦手科目は、多くの生徒が抱える悩みです。しかし、苦手科目こそ、伸びしろが大きく、内申点アップのチャンスでもあります。
苦手科目を克服するには、まず苦手の原因を特定します。基礎が理解できていないのか、応用問題が解けないのか、暗記が苦手なのか、原因によって対策が変わります。たとえば、数学が苦手な場合、小学校の算数でつまずいているケースもあります。その場合は、思い切って前の学年の内容に戻って復習することが必要です。
基礎固めが最優先です。教科書の例題を繰り返し解く、基本問題を完璧にするなど、土台をしっかり作ります。応用問題は、基礎ができてから取り組めば良いのです。焦って難しい問題に手を出すと、かえって自信を失ってしまいます。
苦手科目は、短時間でも毎日取り組むことが効果的です。週末に3時間まとめて勉強するよりも、毎日30分ずつ勉強する方が、記憶に定着しやすく、理解も深まります。
また、わからないところは放置しないことが鉄則です。学校の先生に質問する、友達に教えてもらう、塾の先生に聞くなど、すぐに解決します。わからないまま放置すると、その後の単元もわからなくなり、苦手意識がどんどん強くなってしまいます。質問することは恥ずかしいことではなく、成績を上げるための積極的な行動なのです。
効率的な暗記テクニック
社会や理科、英単語など、暗記が必要な科目は多くあります。効率的な暗記テクニックを身につければ、短時間で多くの知識を身につけることができます。
最も効果的な暗記法は、繰り返し学習です。1回で完璧に覚えようとせず、何度も繰り返すことで記憶に定着させます。具体的には、「エビングハウスの忘却曲線」に基づいた復習タイミングが効果的です。学習した翌日、3日後、1週間後、2週間後と、間隔を空けて復習すると、長期記憶に残りやすくなります。
書いて覚える方法も有効です。ただ読むだけでなく、手を動かして書くことで、脳への刺激が増え、記憶に残りやすくなります。英単語は、単語と意味をセットで10回書く、漢字は読みと書きを交互に練習するといった方法が効果的です。
声に出して覚えるのもおすすめです。目で見て、口で発音し、耳で聞くという3つの感覚を使うことで、記憶の定着率が高まります。歴史の年号や化学式などは、リズムをつけて覚えると忘れにくくなります。
また、関連付けて覚えると効率が上がります。バラバラの知識として覚えるのではなく、ストーリーやイメージと結びつけます。たとえば、歴史の出来事は、「誰が、いつ、どこで、何をした」という流れで整理すると、覚えやすくなります。語呂合わせを作るのも、楽しみながら暗記できる良い方法です。自分なりの暗記法を見つけて、継続することが、成績アップへの近道です。
内申点対策におすすめの学習塾
お子さん一人での勉強では限界を感じたり、効率的に成績を上げたいと考えたりする場合、学習塾の活用も有効な選択肢です。ここでは、内申点対策に効果的な塾の選び方や、塾を活用するメリットについて解説します。
個別指導塾のメリット
個別指導塾は、内申点対策に非常に効果的です。生徒一人ひとりの学力や苦手分野に合わせて、オーダーメイドの指導が受けられるからです。
個別指導塾の最大のメリットは、自分のペースで学習できることです。集団塾では授業のスピードについていけないお子さんも、個別指導なら理解できるまで丁寧に教えてもらえます。逆に、得意な分野はどんどん先に進むこともできます。
また、質問しやすい環境も大きな利点です。集団授業では質問しづらいお子さんでも、1対1や1対2の個別指導なら、わからないことをその場ですぐに聞けます。わからないまま授業が進んでしまうことがないため、着実に理解を深められます。
定期テスト対策にも強いのが個別指導塾の特徴です。学校の教科書やワークに沿った指導をしてくれるため、学校の授業内容を確実に理解し、定期テストで高得点を取ることができます。テスト前には、テスト範囲に絞った集中対策も可能です。
代表的な個別指導塾としては、明光義塾、個別教室のトライ、東京個別指導学院、スクールIEなどがあります。これらの塾では、生徒の学習状況を分析し、一人ひとりに合わせたカリキュラムを組んでくれます。特に、スクールIEは独自の診断テストで性格や学習傾向を分析し、相性の良い講師をマッチングするシステムが特徴です。
集団塾との使い分け
集団塾にも、独自のメリットがあります。個別指導塾と集団塾、どちらが良いかは、お子さんの性格や学習状況によって異なります。
集団塾のメリットは、競争意識が芽生えることです。同じ目標を持つ仲間と一緒に勉強することで、「負けたくない」という気持ちが生まれ、モチベーションが高まります。特に、上位校を目指すお子さんにとっては、ライバルの存在が良い刺激になります。
また、授業の質が高い場合が多いです。集団塾の講師は、多くの生徒に教えるため、わかりやすい説明やユーモアを交えた授業を行うスキルが高い傾向にあります。特に、難関校受験に強い塾では、入試傾向を分析した質の高い授業が受けられます。
費用面でも、集団塾は個別指導塾より安いことが多いです。週2〜3回通っても、個別指導塾の週1回と同じくらいの費用で済むケースもあります。
代表的な集団塾としては、栄光ゼミナール、市進学院、臨海セミナー、早稲田アカデミーなどがあります。栄光ゼミナールは少人数制のクラス編成で、一人ひとりに目が届く指導が特徴です。早稲田アカデミーは、熱血指導で知られ、難関校合格実績が高い塾です。
使い分けのポイントは、基礎固めは個別指導、応用力アップは集団塾という考え方です。学校の授業についていけない場合は個別指導で基礎を固め、ある程度学力がついてきたら集団塾でさらにレベルアップを図るという方法も効果的です。
おすすめの塾の選び方
塾選びは、お子さんの将来に大きく影響する重要な決断です。以下のポイントを押さえて、慎重に選びましょう。
まず、体験授業を必ず受けることです。ほとんどの塾では、無料の体験授業を実施しています。実際に授業を受けてみて、講師の教え方、教室の雰囲気、他の生徒の様子などを確認します。お子さん自身が「ここで勉強したい」と思えるかどうかが最も重要です。
通いやすさも大切な要素です。自宅や学校から近い、駅から近いなど、無理なく通える場所を選びます。遠い塾だと、通塾に時間がかかり、その分勉強時間が減ってしまいます。また、帰りが遅くなる場合の安全面も考慮が必要です。
定期テスト対策の内容を確認します。学校の教科書に準拠した指導をしてくれるか、テスト前に特別講座があるか、学校ごとのテスト傾向を把握しているかなど、内申点対策に力を入れている塾を選びます。
講師の質も重要です。体験授業で、講師が生徒の理解度を確認しながら授業を進めているか、質問に丁寧に答えているか、わかりやすい説明をしているかを見ます。特に個別指導塾では、講師との相性が成績に直結するため、慎重に判断します。
費用の透明性も確認しましょう。授業料以外に、教材費、施設費、テスト代などがどのくらいかかるのか、明確に説明してもらいます。また、解約時の規定や、長期休暇の講習費用なども確認しておくと安心です。複数の塾を比較検討し、お子さんと保護者の両方が納得できる塾を選ぶことが、成功への第一歩です。
内申点に関するよくある質問
内申点については、多くの保護者の方から様々な質問をいただきます。ここでは、特によくある質問について、わかりやすく回答します。これらを知っておくことで、より効果的な受験対策が可能になります。
いつから内申点は重要になるのか
「内申点対策は、いつから始めればいいの?」という質問は非常に多く寄せられます。答えは、都道府県によって異なるというのが正確ですが、基本的には中学1年生から意識することをおすすめします。
埼玉県のように1年生から3年生まで全ての成績が内申点に反映される地域では、1年生の1学期から気を抜けません。最初の定期テストから、内申点に直結するからです。神奈川県のように2年生と3年生の成績が使われる地域でも、2年生からしっかり取り組む必要があります。
東京都のように3年生の2学期の成績のみが対象の地域でも、1年生からの積み重ねが重要です。なぜなら、3年生になっていきなり成績を上げるのは難しいからです。学習内容は前の学年の知識を前提に進むため、1・2年生で基礎をしっかり固めておかないと、3年生で良い成績を取ることができません。
また、学習習慣や授業態度は、一朝一夕には身につきません。1年生のうちから、提出物を期限内に出す習慣、授業に集中する姿勢、計画的に勉強する習慣などを確立しておくことが、3年生での成功につながります。
さらに、私立高校の推薦入試を考えている場合、学校によっては1年生からの成績を参考にすることもあります。早めに対策を始めることで、選択肢を広げることができるのです。理想を言えば、中学入学と同時に内申点を意識した学校生活を送ることが、最も安全で効果的な戦略といえます。
内申点が低くても挽回できるのか
「2年生まで内申点が悪かったけど、今から挽回できますか?」という切実な相談もよくあります。結論から言うと、挽回は可能です。ただし、都道府県の制度や、どの程度低いのかによって、戦略は変わってきます。
東京都のように3年生の成績のみが対象の地域では、3年生で頑張れば、1・2年生の成績は内申点には影響しません。つまり、3年生から本気で取り組めば、十分挽回可能です。定期テスト対策を徹底し、提出物をきちんと出し、授業態度を改善すれば、評定を上げることができます。
神奈川県や埼玉県のように複数学年の成績が対象の地域でも、諦める必要はありません。たとえば、神奈川県では3年生の成績が2倍になるため、3年生で高い評定を取れば、2年生の低い評定をカバーできます。2年生で9教科合計30点だったとしても、3年生で40点取れば、30+(40×2)=110点となり、2年間の平均では36.7点相当になります。
埼玉県のように3年間の合計の場合は、挽回がより難しくなりますが、それでも可能性はあります。1・2年生で評定が低かった教科を、3年生で集中的に伸ばすことで、全体の内申点を引き上げられます。
また、内申点が基準に届かなくても、当日の入試で高得点を取ることで合格できる場合もあります。公立高校の一般入試では、内申点と学力検査の合計で合否が決まるため、学力検査で高得点を取れば、内申点の不足を補えます。内申点が低い場合は、学力検査に重点を置いた勉強に切り替え、過去問演習を徹底するなどの対策が有効です。諦めずに、今できることに全力で取り組むことが大切です。
内申点と当日の入試点のバランス
「内申点と当日の入試、どちらを重視すればいいの?」という質問もよくあります。これは、志望校と都道府県によって異なるため、正確な情報を調べることが重要です。
多くの都道府県では、内申点と学力検査の比率が決められています。たとえば、東京都では多くの都立高校が内申点300点、学力検査700点の合計1000点で合否を判定します(内申点3:学力検査7)。この場合、学力検査の方が重要度が高いといえます。
一方、神奈川県では、高校ごとに内申点、学力検査、面接の比率を設定できるため、学校によって大きく異なります。内申点を重視する学校もあれば、学力検査を重視する学校もあります。志望校の比率を確認し、それに応じた対策を立てることが重要です。
一般的に、進学校では学力検査の比重が高く、中堅校では内申点の比重が高い傾向があります。進学校は、入試当日に難易度の高い問題を解く力を求めるため、学力検査を重視します。中堅校は、日々の学習姿勢や基礎学力を重視するため、内申点を重視する傾向があるのです。
理想は、内申点も学力検査も両方しっかり対策することです。内申点が高ければ、当日のプレッシャーが軽減されますし、学力検査の力があれば、内申点が多少低くても挽回できます。バランスよく力をつけることが、合格への最短ルートです。
ただし、時間が限られている場合は、優先順位をつける必要があります。内申点がすでに高い場合は学力検査対策に重点を置き、内申点が低い場合は定期テスト対策で内申点アップを目指すといった戦略的な判断が求められます。お子さんの現状と志望校の選抜方法を踏まえて、最適な学習計画を立てることが成功の鍵となります。
また、内申点と偏差値の関連性については、以下の記事をご参照ください。
